研究報告Report
InvisibleFlick: 小型タッチスクリーン端末におけるキートップが透明な日本語入力キーボード
Keywords:smartwatch / text input / keyboard / flick / japanese / transparent
Abstract
スマートウォッチのような小型タッチスクリーン端末(以降,小型端末)で日本語入力を行う際, 選択肢の1つとしてソフトウェアキーボードを用いる方法がある. しかし,現状のソフトウェアキーボードでは,キーやテキストエリアを1つの平面上に配置するため, 各領域が狭くなってしまい,ミスタップの頻発による文字入力速度の低下を招いている. 本稿では,小型端末におけるキートップが透明な日本語入力キーボード「InvisibleFlick」を提案する. InvisibleFlickでは,テンキー配列のキーボード上でのフリック操作により文字を入力する. テキストエリアをテンキー部分の背景とし, テンキー部分のキートップを透明にすることによって, 入力中のテキストを明瞭に視認することができる. フリックキーボードとテキストエリアの2層のレイヤ構造の導入により, キーとテキストエリアを同時に拡大することができる. InvisibleFlickの性能を評価するため,プロトタイプを作成し,既存手法との比較実験を行った. 結果,InvisibleFlickの使用を開始してから20-30分後の, 最終セッションにおける文字入力速度は平均163.7CPM(Character Per Minute)に達し, InvisibleFlickは文字入力速度・エラー率ともに既存手法より優れていることが示された. また,印象に関する5段階評価では,使いやすく,今後も使用したいと感じるキーボードであると示された.