研究報告

繊維3Dプリンタのオーバーハングに対応する造形手法

概要

3Dプリンタは,一般のユーザに自動で正確な造形手法を,工業の世界に安価で新しい造形手法を与えた.現在までに積み重ねられた研究のおかげで,プラスチックや金属などにおいては,大きいものから複雑なものまで様々なものが造形可能になった.しかし,繊維の3Dプリンタは現在発展の途中であり,未だ主要な造形手法すら確立されていない.最終的に衣服や家具などを出力するためにも,今は造形手法において議論を重ねるべきである.本稿はその試行錯誤の一つとして位置づけられる研究である.積層造形法は底から上に向かって連続で層を積みながら造形する手法である.外に張り出した形状を指すオーバーハングの部分を造形するためには,造形層を支えるための土台として造形物とは別にサポートを作成する必要がある.本稿では,繊維のみで構成された造形物の3Dプリントにおいて,オーバーハングに対応する造形手法を提案する.本手法では,シート状の綿から造形面とその周囲の余白をレーザカッターで切り取り,それを積層しながら繊維を絡ませる特殊な針であるフェルティングニードルで刺して造形する.綿を積層する際に,造形面の周囲の余白も同様に積層してサポートとして使用する.この時,造形物からサポートが取り外せないことや,層同士が結合せず離れてしまうことがないように,上下の綿2層を過不足なく結合する必要がある.そのために綿同士の結合度とフェルティングニードルを刺す深さ及び一点を刺し続ける関係について調査を行い,適切な条件を導いた .また造形例を作成し,本手法が繊維のみで構成された造形物の3Dプリントにおいて,オーバーハングに対応可能であることを示した.

書誌情報

書誌名

研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)

2020-HCI-186

20

発行日

2020/01/15

キーワード

引用時の表記

野崎玲那,宮下芳明.繊維3Dプリンタのオーバーハングに対応する造形手法,研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI),Vol.2020-HCI-186,Issue.20,2020.

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