概要
本稿では,液体を噴霧混合する味ディスプレイを試作した.塩化ナトリウムやスクロースなど,味を提示する液体が入ったタンク及びスプレーを 10 基搭載しており,透明なフィルム上に噴霧する.フィルムは手前に巻き取られ,その下には液晶画面で料理コンテンツが再生されている.これにより,画面を直接舐めることで味を体験できる「味ディスプレイ」を,電気味覚的な技術を一切利用せずに実現できた.使用する液体は電解質である必要がなくなったため,渋味,辛味,アルコール味,脂肪味など,これまで電気味覚技術で再現できなかった味の再現の可能性を秘めており,舐めたときのみならず,飲み込むまで味が継続される.混合液と再現したい料理の味の差を,味センサ自体で再測定することで,味の再現がうまくいったかどうかを評価できるメリットもある.
書誌情報
書誌名
第29回インタラクティブシステムとソフトウェアに関するワークショップ(WISS2021)論文集
発行日
2021/12/03
引用時の表記
宮下芳明.液体噴霧混合式の味ディスプレイの試作,第29回インタラクティブシステムとソフトウェアに関するワークショップ(WISS2021)論文集,2021.